こんにちは!
北九州市立大学外国語学部英米学科四年の石田侑衣(ゆい)です。
今回38回目になるこせがれ交流会@LEAGUE銀座に、参加させて頂きました。
春より京都の農学部の大学院に進学するにあたり、農業のことをもっと知りたいと
九州から参加させて頂きました。
『事業承継ブック』を使いこなして経営権を奪い取れというテーマのもと、
農家のこせがれのみが集まり、今後の農業界の行方、そしてこせがれの
使命や親世代の事業をスムーズに受け継ぐための手段など二時間
熱く語り合いました。
今回のゲストは、全国農業協同組合連合会(全農)TAC推進課の
伊東悠太郎さんです。
伊東さんは、事業承継ブック制作のプロジェクト推進の立役者でもあり、
ご自身が富山県の米農家のこせがれであるがゆえ、当事者として全農内で
事業承継の重要性を訴え、TACプロジェクト立ち上げに成功しました。
「TACプロジェクトで、各地域の担い手農家を訪問して、農家と話を聞く中で、
事業継承に関する様々な問題がたくさんみえてきたので、それをこの
事業継承ブックで伝えていこうとした」、と語る伊東さん。
事業継承に関する問題として例えば、
1、農業は定年がないから親父と世代交代するタイミングがわからない
2. どうやって継ぐのか、手順がわからない
という二つにしぼられるそう。
このようなことはなかなか他の人に相談できないそうで、今回参加していた
こせがれたちも同様な意見をもっていました。
帰農を思い悩むこせがれや、親父と向き合って話をすることの難しさや、
事業収入に関することなど、それぞれに悩むことがあるのだなと思いました。
また、農業界にプレイヤーがおらず、このままでは日本の伝統産業が
消えてしまう…という危機にあることも重要な問題だそう。
例えば、伊東さんの出身である富山の家族経営は10年後にはなくなると
予測されていているそうです。
「もう限界がきている地域もあり、どんどん国内産業が失われていくのです、
これはどうにかしないといけません!」
と熱く語る伊東さんをみて、一刻でも早く自分たちの地域や伝統技術を
守りたい!と同じ気持ちになりました。
参加者の一人、農家のこせがれネットワークの活動を応援している
デンカ株式会社の坂元さんは、「国内の農業経営を持続的なものに
していくためには、生産者の方が儲かることが一番大事。
そして生産者の方が面白い、やりがいがあると感じながら農業を
できる環境をつくるお手伝いをしたい」
と言います。続いて伊東さんも
「基幹的販売農家数は、毎年減少しており、0の地域もある。
日本の農家がなくなる前に誰かが継ぐしかない。
だからこそ、今回集まった彼らのようなこせがれがしっかり事業を
継承していくのが日本の農業を守っていくことにつながる」
とお話をしてくれました。
そのために役立つのが今回の『事業承継ブック』。
この事業承継ブックは大きく2部構成になっており、心構えと抑えるべき
ポイントを記した準備編とワークシートに記入して実際に事業承継を前に
進める実践編とに分かれています。
一年余りの年月をかけて編集に編集を重ねながら作り上げたものらしく、
今では全国に13000部配布されているそうです。
読まずにはいられない一冊となっています!
このブックでは、子どもが事業を継ぐことに反対する親父を説得する方法や
親父からの事業に関する情報の聞き出し方など事業継承の方法を5段階に
分けてわかりやすく説明しています。
親子で事業承継計画を策定するも良し、まずはさりげなくこたつの上に
置くも良しです。
このブックをこれから継承しようとする農家の方にじっくり読んでもらって
いただき、彼らの事業継承の考え方に活用させていってほしいという
伊東さんの言葉で交流会を締めくくられました。
今回の交流会を通して、どれだけ農業界が深刻な立場にあるのか
ということを学び、一人でも多くの若者に農業を教育し、起業家精神を
兼ね備えた人材を育成していくかが今後の日本農業存続へのカギになる
と思いました。
日本の農業の未来を考えるうえで、家族経営における事業承継は
最大の課題と伊東さんは言います。
ここを解決していくことで、日本の農業にチャンスはある。
そう信じ今後一人でも多くの方が農業の大切さ、深刻さに気付き、貢献して
いくことを願います。そんなことを思うきっかけをくれた交流会でした。